礫底上,泥底上における南極産魚 Ophthalmolycus amberensis (げんげ科)の行動 (英文)
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概要
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南極産げんげOphthalmolycus amberensisは, サウスシエトランド諸島, キングジョージ島, アドミラルティ湾の深度140-200m深の海底に出現する。海底表面には不規則に凹凸があり, 礫底又は微細沈澱物を混えた一様な泥底からなる。そこで, 礫, 泥2種類の底質を備えた水槽を用意し, O. amberensisの底質に対する行動の差と適応の観察を行った, 個体差はあったが, O. amberensisが活動したのは, 平均して観察時間の2%であった。活動は概日リズムが認められた。O. amberensisは礫底上で胸びれを前後に動かして遊泳し, 泥底上では体をくねらせて遊泳した。その結果, 遊泳速度は泥底上でしかも主として夜間明らかに大きくなり, 礫底上では遊泳行動の頻度が多くなった。行動は泥底上, 礫底上共に, 夜間の方が活発であった。より多様な警戒姿勢, ならびに, より長時間に亘る警戒行動が泥底に比べ礫底で認められた。礫底上に比べ泥底上でO. amberensisはより頻繁に摂餌行動を起し, より大量の餌を摂ったが, 餌の忌避を含め摂餌行動を完了しない頻度は, 摂餌行動の完了頻度より高かった。O. amberensisの海底表面の構造に対する行動的適応能が, この種に海底の異なった生息環境を効果的に利用する力を与えているのである。
- 国立極地研究所の論文
著者
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Meyer Ana
Universidade Tuiuti Do Parana
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Rios Flavia
Departamento De Biologia Celular Universidade Federal Do Parana
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Fanta Edith
Departamento de Biologia Celular, Universidade Federal do Parana
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Fanta E
Ufpr Pr Bra
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