南極産魚類 Notothenia coriiceps, Trematomus newnesi(ノトセニア科)腸の比較形態-機能学的研究:組織学と微細構造(英文)
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概要
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南極地域の日照時間と日射強度の季節変化は, 南極海の生物現存量と基礎生産力に影響を与えている。その結果として, 魚類の消化管に, 形態学的, 生理学的変化を伴うような食物摂取上独特な適応が生ずる。本研究の目的は, 2種類の南極産ノトセニア科魚類, 底生性で活動度の比較的低いNotothenia coriiceps, ならびに半漂泳性の魚であるTrematomus newnesiの腸の形態-機能学的研究を行うことである。両種とも, 食肉性魚類の主な特徴である, 割合に大きな胃と短い腸を持っている。腸粘膜は吸収上皮細胞, 杯細胞, リンパ球, 小桿細胞を含む単層円柱上皮から成っている。中性, 酸性の粘液物質を生産する杯細胞は, 両種とも腸全域に亘って分布する。N. coriicepsの幽門垂, 中腸前部, そしてT. newnesiの中腸にある吸収上皮細胞は脂質吸収細胞としての微細構造上の特徴を示す。蛋白質吸収細胞としての特徴を持つ吸収上皮細胞は, 両種ともに, 腸の後部に認められる。加えてN. coriicepsの腸後部には深いひだがあり, そこには毛細血管が集中し, 飲作用により大型分子の活溌な輸送が行われているものと思われる。滲透圧調節は, N. coriicepsの場合主として中腸の中, 後部でなされ, T. newnesiでは中腸の全域でなされる。腸の機能的形態における, 両種のこれらの差異はN. coriicepsが広食性であるのに対し, T. newnesiの食物の選択幅が狭いという, 2種の食性の差異とエネルギー代謝の差異とに依るものと思われる。
著者
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Vianna A.
Universidade Federal Do Parana Departamento De Biologia Celular
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Fanta E.
Universidade Federal do Parana, Departamento de Biologia Celular
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Haapalainen E.
Universidade Federal de Sao Paulo, Centro de Microscopia Eletronica
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Fanta E.
Universidade Federal Do Parana Departamento De Biologia Celular
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Haapalainen E.
Universidade Federal De Sao Paulo Centro De Microscopia Eletronica
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Vianna A.C.C.
Universidade Federal do Parana, Departamento de Biologia Celular