南極大気中のサブミクロンエーロゾルの粒径分布について
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概要
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1978年8月から12月まで約5カ月間, 南極昭和基地において, エーロゾルの粒径分布の観測を行った。拡散管とポラックカウンターからなる自動測定器および, 光散乱型粒子計数器を用いて, 半径2×10^<-7>∿10^<-4>cmの粒径範囲の1時間毎の粒径分布を測定した。12月の月平均粒径分布(dn/d log r)は, 半径5×10^<-7>cmと4×10^<-6>cmに峯を持つ二峯分布であった。この分布から算定すると, 空気1(cm)^3中に含まれる粒子の総個数は450個でそのうち100個は10^<-6>cm以下の半径で, 残りの大部分は10^<-6>∿10^<-5>cmの半径であった。粒子の表面積の総量は1×10^<-8>(cm)^2,総体積は1×10^<-13>(cm)^3であった。このような二峯分布は, 多少の違いはあるが, どの月にも一般的に現れた。月による違いは, 半径4×10^<-6>cm近くの峯において顕著にみられ, 峯の高さは8月から12月に向かって高くなった。半径5×10^<-7>cm近くの峯はほぼ一定であった。観測された粒径分布が定常的に存在するためには, 少なくとも10^<-4>(cm)^<-3> s^<-1>程度の発生率で新粒子が連続して発生している必要がある。今回の結果から, 清浄な南極大気中で光化学的に作られる蒸気物質(おそらくH_2SO_4)の無核凝結や有核凝結が, 南極サブミクロンエーロゾルの起源として重要であることが推論できる。さらに研究を進めるためには, SO_2およびその先駆的な気体の濃度や, SO_2からH_2SO_4への変換率などの, 南極における実測が望まれる。
- 国立極地研究所の論文
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