ジャワ島周辺における月降水量の時空間変動の解析
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概要
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ジャワ島およびその周辺地域における23年間(1951-1973)の月降水量変動を解析した結果, 変動度(variability)は, 乾期(東風卓越期)に大きく, 雨期(西風卓越期)には比較的小さいこと, 地域的には, インド洋側がジャワ海側より大きいことが明らかとなった。経年変動の時間的空間的特性を, 平年偏差値についての経験的直交函数解析を用いて調べた。その結果, 準2年周期振動(QBO)がもっとも卓越する成分(総分散の29.4%)として現われ, この振動は, ジャワ島のみならず, 少なくともスマトラ, ボルネオ, スラウェシ各島の南半部にまで拡がる地域で, ほぼ同位相を持って卓越していることが明らかとなった。乾期における大きな変動度は, このQBOが大きく寄与しており, 乾期(雨期)の伸縮, 時期的なずれ, 乾期降水量の増減を決める因子として重要なモードと推測される。第2成分(総分散の6.2%)は, 雨期最盛期(1,2月)の降水量変動を説明しており, 数年(以上)の長周期変動として現われている。空間パターンは, 島の北側平野部と南側山岳部が逆の位相で変動していることを示している。上記ふたつの卓越成分に関連した大気循環パターンを, グローバルな地上気圧資料を用いて調べた結果, 第1成分は, オーストラリア周辺から南太平洋東部域を中心とする南半球中緯度の気圧のQBOに対応したものであり, 第2成分は, 北半球冬期のモンスーン循環系(シベリア高気圧-アリューシャン低気圧)の南北方向の偏位に関連していることが確認された。これらふたつの変動モードと, いわゆる"southern oscillation"との関連についても, 若干の考察を試みた。
- 京都大学の論文