気球用ポリエチレン・フイルムの縦横加工比と実気球の上空破壊率および極点図形について
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概要
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科学観測用ポリエチレン気球は高度10〜20kmのジェット気流層を上昇中に,往々突然破壊落下し,観測計画が単に齟齬を来すばかりでなく,安全性の観点からも重要問題であり,気球材料懇談会で組織的に対策が検討されていた.筆者もこの気球の上空破壊を防止することを目標に,ポリエチレン皮膜に低温二軸延伸性を十分に与えるため,高圧ポリエチレンの基礎物性を検討し,その適合性を確め,フィルムの組織構造について関係する4因子を分析考察した.まず第一条件である,フィルムの力学的直交異方性の等軸化について,本質的な指標として,成形条件に新しく縦横加工比(forming ratio以後F.R.と記す)[1]を導入し,毎年度成形のフイルムを漸次改良した.F.R.を1に近づけるにつれ実気球の上空破壊率も初期の15〜25%前後から漸減し,昭和45年F.R.=1.4に改めて以後ここ数年間零を保ち,気球の信頼性は向上している.また,代表的な4種類の試料フィルム等については,極点図形を求め,低温延伸性に関係する結晶配向が推測通りであったことを確認し得た.
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