日本文学共同研究〈江戸から東京へ〉一 : 和声 : 物語の声について
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概要
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ここでは,ぼくたちの研究会で討論した四つの作品の声について考える。作品の中で誰がどんな声を発しているか,また何のために,というようなことだ。登場人物たちの声がそのまま聞えるのは,芝居の台本のように書かれている『春色梅児誉美』(一八三二)であり,伝統的な物語言語で書かれた『にごりえ』(一八九五)と,今日ぼくたちが読む現代小説の言語とほとんど同質の『刺青』(一九一〇)からは,誰よりも作者の声が聞えて来,『少年』(一九一一)は,人物も作者も両方の声が聞えていながらかなり不透明,という印象だ。それぞれの作品の作者と登場人物が,主題と物語(小説)言語にかかわって,どのような声を何のために聞かせようとするのかを見ることにする。
- 1994-07-31
著者
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