マクベスの意識構造 : 「運命」「眠り」「時」
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概要
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Shakespeareの戯曲の中で,最も短い作品の1つであるMacbethは, plotの面からみても最も単純な作品と言えるであろう。「事件」と言える事件は,主人公MacbethのDuncan殺害のみであると考えられる。それ以後のできごとはMacbethにとっては言わば,ことのなりゆきに過ぎない。それでは彼はなぜこのような事件を引き起こしたのだろうか。Lady Macheth以外にはだれからも認められず,自分自身でさえ認めることができず,考えただけで身の毛のよだつこの国王殺しという犯罪を,彼はどのようにしてやってのけることが出来たのであろうか。例によってShakespeareは殺害の動機などを主人公の口から詳細に語らせたりはしないし,初期の史劇のRichard IIIのように,I am determined to prove a villain.などと言わせはしない。そこで主人公の「運命」とのかかわりあい方を考えることによって,彼の国王殺しの論理を探り,彼の行為の裏にある特異な意識構造を検討することによって,Macbethという男の悲劇のありようを考えてみることにしたい。
- 城西大学の論文
- 1979-01-20
著者
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