<特集>アルツハイマー病の認知機能障害に対する治療 : 抗痴呆薬開発の現状(<特集>第7回都民公開講座「いきいきとした老後をめざして」 -アルツハイマー病とパーキンソン病の克服-)
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概要
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わが国では,アルツハイマー病の有病者数が増加傾向にあり,有効な治療薬の開発が急務である.狭義の抗痴呆薬とは,痴呆の中核症状(認知機能障害)を有意に改善するか,その進行を有意に抑制する治療薬を指す.現在多くの薬剤が,アルツハイマー病に対する抗痴呆薬として開発段階にあるが,その中心はコリン作動薬である.現時点での治療法は,依然として対症的な薬物療法と残存する知的・身体機能を保持するための広義のリハビリテーション療法(非薬物療法)が主体であるが,国内でも使用可能な専用治療薬が登場したことの意義は極めて大きい.国内初のアルツハイマー病治療薬として承認された塩酸ドネペジルは,軽症から中等症のアルツハイマー病の中核症状に対して進行抑制効果を有する比較的安全なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬である.しかし,本剤による薬物療法は,あくまでも補充療法であり,根治的治療法ではない.したがって,臨床医にとっては,疾患の本態を見据えた上での本剤の臨床的限界を十分に理解して投与することが重要である.今後の展望としては,基礎研究の発展から疾患の基本病理過程により密接に関与する新たな治療薬の開発が進むものと予想される.
- 順天堂大学の論文
- 2001-10-19
著者
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