舌癌におけるMRI所見と実際の浸潤範囲の乖離
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概要
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舌癌について、MRI 造影T1 強調像の異常増強域と手術標本における腫瘍細胞の浸潤範囲の対比を行い、MRI にて異常所見を呈する範囲と実際の腫瘍浸潤範囲の乖離の大きさを調査した。対象は原発巣に対して切除を行った舌癌症例7 例 (T1 : 2 例,T2 : 4 例,T3 : 1 例)である。7 例中3 例には術前照射が施行された。7 例中6 例で舌癌原発巣は舌内の異常増強域として描出された。術前照射を施行しなかった4 例のうち病巣が描出できた3 症例では、異常増強域は実際の腫瘍浸潤の深さよりも3~7 mm 深くまで及んでいた。術前照射施行症例3 例では、異常増強域が実際の腫瘍浸潤よりも7~15 mm 深い部位まで及んでいた。病理組織標本と対比すると、MRI 造影T1 強調像の異常増強域は腫瘍浸潤範囲とその周囲にみられる炎症細胞浸潤の領域を合わせた範囲と考えられた。病変が描出できた症例では造影T1 強調像の異常増強域は腫瘍の浸潤範囲よりも深いところまで及んでいたが、乖離がわずかである症例もあり、実際の治療に際しては、MRI 造影T1 強調像の異常増強域に適当な安全域をとる必要があると考えられた。 キーワード:舌癌、浸潤範囲、MRI The accuracy of MRI finding in determining the depth of tongue cancer was assessed. Seven patients with tongue cancer (T1, 2; T2, 4; T3, 1) were evaluated with contrast enhanced T1 weighted coronal images before surgery. In three of seven cases, radiation therapy was performed before surgery. Tongue lesion was depicted as abnormally enhanced region in six of the seven cases. Depth of abnormally enhanced region was 3 to 7 mm deeper than that of tumor invasion in the cases without preoperative radiation therapy. Depth of abnormally enhanced region was 7 to 15 mm deeper than that of tumor invasion in the cases treated with preoperative radiation therapy. In histopathological correlation, the abnormally enhanced region contained tumor cell infiltration and inflammatory cell infiltration around tumor. Though depth of abnormally enhanced region on MRI was deeper than that of tumor invasion, the differences were not always adequate, especially in the cases without radiation therapy. A safety margin should be added to the abnormally enhanced region in the treatment. Key words :Tongue cancer, MRI, histopathological correlation
- 山形大学の論文
- 2003-02-17
著者
-
新野 恵司
山形大学医学部第2病理
-
濱本 泰
山形大学医学部放射線医学教室
-
新野 恵司
山形大学医学部放射線科
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濱本 泰
国立病院四国がんセンター放射線科
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石山 博條
山形大学医学部放射線科
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濱本 泰/新野
山形大学医学部/山形大学医学部/山形大学医学部
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