心臓電気現象の3次元コンピュータシミュレーション : 心筋梗塞、心不全における不整脈発生機序の解明
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概要
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背景:心疾患に伴う不整脈死は重要な社会的課題であるが、不整脈の発生機序はいまだ解明されていない。そこで心臓の電気現象をコンピュータ上に再現し、モデル心臓を再構築することで心臓のさまざまな電気現象の機序を解明しようと試みた。 方法:ユニット分割3次元モデル心臓上で心筋梗塞・心不全の条件を設定し、不整脈発生をシミュレートした。 心臓モデルは心房筋、心室筋、特殊伝導系を含む1.5mm^3 の等方向伝播の分割ユニット約50,000個から構成した。心筋梗塞は既知の条件(線維化組織の無興奮と周囲組織の伝導遅延)、心不全は実験的心不全から実測して条件を求めた。このモデル心臓に対して、仮想の電気的刺激を加えることで不整脈の発生機序を検討した。 結果:梗塞周囲に興奮伝導遅延部位を設定することで心室遅延電位が発生し、かつ心室細動の易誘発性が認められた。また心不全では様々なパラメータが変動するが、特にdynamic coefficientの変動が不整脈の発生に直接的に関係した。 結論:以上の結果はそれぞれの疾患の不整脈発生機序に深く関係するもので不整脈対策立案上、重要な所見である。 キーワード:コンピュータ、シミュレーション、心筋梗塞、心不全 Background : The precise mechanism of ventricular arrhythmia is still unclear. The simulation study using the 3-dimential heart model may help us increase the understanding of this issue. Methods : A model heart was constructed of 50,000 discrete elements with 1.5 mm spatial resolution. Each element was a simulation of myocytes or conduction system, and was categorized with features of action potential, conduction velocity and automaticity in each model cell. Results : Simulation of myocardial infarction revealed that the presence of peri-infarctional slow conduction and Purkinje fibers was essential for the induction of VF. Simulation of failing heart revealed that the alteration of restitution properties was essential for the induction of VF. Conclusion : The present simulation studies provided important information about the mechanism of ventricular arrhythmia. Key words : computer, simulation, heart failure, myocardial infarction
- 山形大学の論文
- 2002-08-15
著者
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