長波長紫外光による酵母Saccharomyces cerevisiae細胞膜機能の損傷
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
酵母Saccharomyces cerevisiaeに長波長紫外光を照射すると,酵母の生存率は光量に依存して急激に低下した.この現象の発現機構についての知見を得るために,細胞膜機能として非常に重要な透過障壁能と能動輸送能の長波長紫外照射による損傷について,光量一効果曲線を作成して調べた. 酵母に10J/mlの長波長紫外光を照射すると生存率は50%に低下する.この照射光量は,細胞膜の透過障壁能の破壊を引き起こし,細胞内のカリウムイオンおよびナトリウムイオンの非選択的漏出と細胞膜非透過性物質の細胞内への浸入をもたらした .5J/ml以下の光量は酵母の生存率にほとんど影響を与えないが,アミノ酸の取り込み速度の著しい低下とポンプあるいはチャンネル機構の損傷を予想させるカリウムイオンの選択的漏出をもたらした.また,動力学的解析結果から,アミノ酸の取り込み速度低下の要因は、細胞膜表面に存在するレセプターの損傷によるものではなく、受容以降の輸送系の損傷によることが示唆された。
- 岡山大学の論文