大正期の助産活動 : 産婆の記録「妊婦産婦診察控」より
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概要
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日本における産婆養成は、明治期に近代医学をベースにして開始された。それまで出産は、伝統的産婆に依頼するか自力で行われていた。従って、新しく教育を受けた産婆が地域社会で活動を始めた時にどのように受け入れられていくのか、どのような出産を扱うのかは、近代助産制度の確立状況を知る手がかりとして重要である。本稿では、大正期に産婆養成所を卒業して神奈川県綾瀬村で開業した産婆(桐山イソ)の記録を分析した。その結果は以下のとおりである。活動期間は5年弱で、関わった妊産婦総数は124人である。介助した出産の約半数は、出産開始後に初めて依頼を受けている。しかし、死産1例、妊産婦死亡1例と異常の割合が少なく、必ずしも異常産になったからイソに依頼したわけではないことがわかる。一方、この地域では、資格を持った産婆がイソより先に開業していたことが確認できた。以上のことから、イソが開業した当時の地域の人々の意識は、資格を持った産婆へ依頼する方向へ変化しつつあったものと考えられる。記録に書かれた数字を、謝礼と推定して分析を試みた。謝礼の額は個人差が大きいが、開業年数が増える毎に上限が上がっていった。また、生まれた子が男子の場合、あるいは第1子の場合により高い傾向がみられた。これは、綾瀬村の産育慣習と共通している。以上のことから、当時産婆に支払われた謝礼は、単に助産行為に対する技術料というだけでなく、ご祝儀的な意味合いが強かったものと推察される。
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