<研究ノート>現代企業を取り巻く環境と企業の対応について
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概要
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研究ノートいわゆるバブル経済がはじけたと言われて久しい。日本の経済社会では金融機関の破綻や大型の倒産が相次いで起こり、未経験の経済状況の中で政府も企業も経済の再構築を目指してもがいている。しかし不況は長期にわたり、その原因は日本国内だけの問題ではなく、またある業種、ある製品に特定されるようなものでもないことが見えてきている。従来の手法では解決できないものがあるのである。そして、これは経営の現場でも重要な問題として取り上げざるをえないものとなっている。私は、情報化、国際化などというキーワードで論じられてきた種々の議論の根底にある現状の認識について検討し、それと同時に現状をできるだけ素直にありのまま観察し、90 年代に入って脚光を浴びつつある「複雑系」の考え方がこれからの経営理論の重要な新しい視点であるとの見解を得るにいたっている。現在の所、この「複雑系」の視点から企業組織やマネジメントの問題に取り組んでいる研究はまだ端緒についたばかりに思われる。しかし私はこれからの企業の経営政策遂行のうえで、これは有用な示唆を与えてくれると信じるものである。本稿では、この「複雑系」といわれる近年注目を浴びてきた新しいものの見方が、近代科学を支えてきた要素還元主義の考え方からのパラダイム転換であることに触れ、その上で企業の外的環境としての「複雑系」について、そして企業そのものが「複雑系」であることを述べている。そして、その延長線上に「複雑系」の考え方の経営管理への展開を位置付け、「複雑系社会」におけるマネジメントについても言及しようと試みた