<研究ノート>新電子商取引を支援するエージェント指向企業モデルの考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
研究ノート企業は、従来の事業領域を超えて様々な協調活動を行っている。企業の諸活動を支援する情報技術(Information Technology)は、それまでの取引先との取引を前提に機能定義が行われ、今日の企業情報化として適用されてきた。一方、インターネットを使った企業情報化が近年急増する状況は、新しい取引への対応力を問いかけている。企業が取引する顧客は、提携企業だけでなく、グループ外の企業、一般消費者など多岐に渡り、交わす取引も個別的になるため、それらの連携と取引主体者の企業による管理は必ずしも容易とは言えない。今日の情報化では、取引業務を個別に完結処理するのみで、業務間を連携する取引処理を柔軟に行ったり、その連携する取引群を統合し処理全体を管理可能とするのは極めて困難である。この状況を打開する情報技術、それによって可能になる取引構造について提言が必要である。これに対し筆者は、次世代の電子商取引 (Electronic Commerce)を前提に、この新しい型の電子商取引を支援する企業モデルを定義した "Frontier Agents Computing Model"を提言する。エージェント(Agents)とは、取引当事者である企業や顧客の代理人として、その取引の状況を判断し、必要に応じた取引行動を示す機能をもつ、情報技術の世界での論理的な構成要素であり、企業の対顧客の窓口領域において、他のエージェントと協調して取引処理を支援する。このモデルにおいて、状況対応型の取引行動の構造とそれを支援する情報技術の要件がどのようなものになるか解明を試みた。取引相手やその取引処理に対応した取引基盤の提供と機敏な業務連携の支援が、企業の協調活動に際し極めて重要になる。個別的な取引群を統合化し、従来なしえなかった業務連携を生み出すことが、企業情報化の新しい位置付けとしての電子商取引とそれを支援する情報技術の役割である。
- 同志社大学の論文