<原著>中国西部地域の農業成長とその構造変化の経済分析 : 新彊ウイグル自治区トルフャン市1農村の事例分析を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
中国経済は1978年の改革・開放政策の実行と共に,中国農村経済に大きな変化(成長)が見られた。特に中国沿海地域の開放によって,これらの地域の農村経済が大きな発展を遂げた。一方では地域間格差の拡大のよる様々な社会問題が発生している。中国経済の地域間格差を是正するために,中国政府は1996年に中国内陸部・西部地域の発展させるための様々な優遇政策を実施し始めた。しかし,中国内陸部及び西部地域は,沿海部と同じように大きな発展をするかという疑問を背景に,中国西部地域の農業経済の実態をミクロの面から把握することにしたのが本論文である。本文では,特に,1)中国西部地域農村(農業)の実態を改革前,改革後の変化を比較しながら,改革前の低成長は食糧生産を主とする生産構造及び所得の不平等配分にあったことを明らかにした。2)改革・開放後の農村経済の急成長は改革前の大幅の基盤整備を最大限に利用し,換金作物生産を重視した結果であることを生産性の面から明らかにした。3)最後に,改革・開放後に農業基盤整備投資の減少及び非農業部門発展の停滞により,農村人口圧の高水準等の問題を解明し,今後の中国西部地域農村経済の発展について提言した。
- 近畿大学の論文
- 2000-03-31