<原著>新しいデザインの人工角膜の家兎埋植試験
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概要
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人工角膜とは角膜混濁に対する視力回復を治療目的とした人工物により作られた生体角膜の代用物である.簡便な手術手技で施行可能な人工角膜を開発し,家兎への埋殖試験を行った.人工角膜は全屑型で,光学部と支持部,鍔部からなる.その特徴は,柔軟性と強度を有するポリウレタンからなる多孔性構造の支持部を通して縫合可能,支持部孔内に角膜組織が侵入し一体化する,鍔部が人工角膜を内側から支え,脱落を防止する,などである.支持部の厚みは0.7mmと0.4mmの2種類作製した.種々の大きさの微細孔をもつ支持部のものも作製した.以上の種々の人工角膜を家兎に埋殖し,生着期間と接合部の状態を組織学的に検討した.長期埋殖試験では支持部が0.7mmの厚みをもつ人工角膜埋殖眼では最終的には全例がepithelial downgrowth のため脱落した.しかしながら,支持部が0.4 mmの厚みをもつ人工角膜の埋殖服ではepithelial downgrowth による脱落はなく,組織学的にも周辺部の実質表層の一部が支持部を覆い,上皮は支持部上に伸展し,支持部孔内には角膜実質細胞とコラーゲン線維の侵入を認めた.感染による生着不能眼を10眼中8眼に認めたが残る2眼は1年以上良好な状態を維持していた.0.4mmの支持部の厚みをもつ人工角膜埋殖眼は,組織学的にも良好な接合状態であり今後有用な治療方法になり得ると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 2002-10-25
著者
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