<原著>硬膜外脊髄電気刺激の除痛機序 : 末梢神経損傷モデルにおける脳脊髄液中の神経伝達物質におよぼす影響
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概要
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硬膜外脊髄電気刺激療法(SCS)は, 神経因性疼痛をはじめとした慢性難治性疼痛に対する有効な治療方法の一つであるが, その除痛機序には不明な点が多い.そこで, SCSによって脳脊髄液中に放出されるアミン代謝物やアミノ酸からなる神経伝達物質を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量分析し, SCSの除痛機序について検討した.研究には, Sprague-Dawley系雄性ラットを用い, はじめに無麻酔, 無拘束下での坐骨神経部分結紮モデル(PSNLラット)とシャムラット(対照ラット)における脳脊髄液中の神経伝達物質の相違について, ついでPSNLラットを用いて, SCS施行による神経伝達物質の変化を検討した.その結果, PSNLラットでは対照ラットと比較して5-hydroxytryptophan(5HTP), tyrosine(TYR)濃度は有意に高く, norepinephrine(NE)濃度とnorepinephrine(NE)/dopamine(DA)比は有意に低かった.SCSによって, NE, 5-hydroxyindole acetic acid(5HIAA)濃度の有意な増加とNE/DA比の有意な上昇を認めた.また, PSNLラットは対照ラットと比較して, 興奮性アミノ酸(aspartate : ASP, glutamate : GLU)濃度と抑制性アミノ酸(glycine : GLY, γ-amino butiric acid : GABA)濃度は有意に高かったが, SCSによりGLUの濃度が減少した.以上の結果より, 坐骨神経部分損傷によってNE作動性下行性抑制系の障害が生じ, SCSの除痛機序には下行性抑制系の賦活作用とGLU減少作用が関与すると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 2001-11-25
著者
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