<原著>耳鳴症に対するペインクリニック的治療の奏効機序に関する検討
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概要
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耳鳴症に対するペインクリニック的治療の有用性, その奏効機序についての検討を行った.種々の治療法に抵抗性を示す耳鳴症患者127名を対象として, 塩酸リドカインまたは酢酸フレカイニド1mg/kgの静脈内注入を行い, その後, 1%塩酸リドカイン5mlによる星状神経節ブロック, 1%塩酸リドカインまたは1%酢酸フレカイニド2mlを用いた外耳道内イオントフォレーシスを各々施行した.さらに, 対照試験として, 耳鳴症患者12名で生理食塩水による外耳道内イオントフォレーシスを行い, ボランティア10名および耳鳴症患者10名において星状神経節ブロック前後での鼓膜温の変化をみた.結果, (1)静脈内注入によって耳鳴の軽減をみたが, 酢酸フレカイニドでの効果が塩酸リドカインによるものよりも持続した.(2)星状神経節ブロックの連続施行により耳鳴は有意に改善し, 鼓膜温は非ブロック側に比してブロック側で有意に上昇した.(3)外耳道内イオントフォレーシスの連続施行により耳鳴は有意に改善したが, 生理食塩水を用いた対照試験では効果を認めなかった.(4)各治療による効果の比較では, 統計学的に関連性を認めず, 各々の奏効機序は異なることを確認した.(5)治療効果との因果関係を探る目的で, 難聴の有無, 病悩期間, 原因疾患別に比較検討したが, 治療効果との間に関連性は認めず, 奏効機序にこれらの因子は関与しないと考えられた.なお, 耳鳴症に対する奏効機序として, 静脈内注入は中枢作用, 星状神経節ブロックは聴覚伝導路の血流増加による障害部位の修復, 外耳道内イオントフォレーシスは鼓膜を介する内耳への直接作用が示唆された.
- 2001-11-25
著者
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