<原著>筋組織傷害の再現性にすぐれた圧挫損傷実験モデルの開発と形態定量的解析
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概要
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筋肉の損傷と再生修復機序の解明に必要な筋挫滅の程度と外力の大きさとの相関性および障害の経時的変化に関する定量的研究は意外に少ない.本研究ではSDラットの左長指伸筋を鉗子状の器具で挟み, 一定外力(1kgと100g)を加えた筋挫滅モデルを作製した.そして, 経時的に(1,3,6,12時問および1,3,5,7,14日後)筋重量と組織学的所見, 血中creatine kinase(CK)の経過を検討した.1kg群では術後6時間で電顕的に筋原構造の破壊が見られた.挫滅1〜12時間後から間質の浮腫が著明で, 3〜5日後では浮腫は減少し筋細胞内に多数のマクロファージを認め, 5〜14日後に再生筋が出現した.これに対し100g群では挫滅3日後でも浮腫が著明であったが, 一部の筋細胞内にのみマクロファージを認め, 14日後でほぼ正常に回復した.また, 血中CKは両群とも挫滅前値に対し1時間後から上昇し3時間で最高値に達した後, 挫滅前値と同程度になった.以上の結果は, 挫滅操作後の各群の複数匹のラットでほぼ一致し, 筋傷害機序の質的な差異が確認できた.1kg群は筋膜伸展性, 100g群は循環性の障害による筋障害モデルを示している.本実験に用いられた筋圧挫装置は, 組織学的変化について, 定量的で再現性のある障害を作製できる可能性があり, 今後の損傷の機序解明の研究に有用であることが示唆された.
- 2001-10-25
著者
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