<原著>視神経炎の診断と治療に関する研究
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概要
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視神経炎には原因不明の特発性視神経炎と多発性硬化症の視神経炎がある.視神経炎の確実な診断方法の確立のために, 4種類の中心フリッカー値測定装置の特性を明らかにし, 磁気共鳴画像magnetic resonance imagingのshort TI inversion recovery(STIR)法を用いて視神経/脳白質の信号輝度比を求め, 定量的に評価する方法を工夫した.今後の適切な治療法の指針とするために, 特発性視神経炎93例と多発性硬化症の視神経炎47例の治療法(ステロイド薬のパルス治療と内服治療)別における視機能回復の状態と再発・後遺の差異をretrospectiveに検討した.視力回復率は視神経炎の両群間, パルス治療群と内服治療群の間で有意な差はなかったが, 中心フリッカー値の回復率はパルス治療を行った特発性視神経炎が有意に高かった(p<0.05).パルス治療による視力回復の速さは特発性視神経炎では早期から急であり, 内服治療と比べて有意に速く回復した(p<0.01).パルス治療により視機能が回復した症例でも視覚誘発電位とSTIRの異常所見の出現率は高く, 視神経内の異常がまだ後遺として残存していた.パルス治療群と内服治療群の間に再発率の差はなかった.原因不明の視神経炎は長期間の間隔で再発した症例もあるため, 全身の神経症状の発現や再発に注意し, 常に多発性硬化症を考慮して経過観察すべきである.
- 近畿大学の論文
- 2000-12-25
著者
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