<原著>角膜上皮創傷治癒におけるプロスタグランジンの作用機序について
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概要
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角膜上皮創傷治癒機構におけるプロスタグランジン(PG)の役割を知るために, 家兎角膜上皮細胞の遊走と増殖に対する表皮成長因子(EGF)とプロスタグランジンの影響を器官培養法, 実験的角膜上皮創傷治癒モデルおよびMTT法を用いて検討した.さらに上皮創傷治癒モデルを用い角膜上皮細胞によるプロスタグランジン合成に対するEGFの影響をELISA法にて検討した.器官培養法, 上皮創傷治癒モデルのいずれにおいても, EGF添加群は対照群に比べて角膜上皮伸長が有意に増加した.非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の単独添加では上皮伸長に影響を認めなかったが, EGFと同時に添加した群ではEGFの上皮伸長促進効果を有意に抑制した.上皮創傷治癒モデル培養液中のPGE_2,PGF_2α量はEGF添加後3時間で対照群と比べて有意な増加を認め, このEGFによる角膜上皮細胞のプロスタグランジン産生促進作用は, EGFに対する中和抗体やNSAIDsによって抑制された.EGF添加で角膜上皮細胞の増殖は促進されたが, NSAIDsを同時に加えるとEGFの細胞増殖促進作用は有意に抑制された.NSAIDsの単独投与では角膜上皮細胞増殖に影響はなかった.以上のことから, EGFによる上皮細胞の伸長や増殖に対する促進作用に, EGF刺激によって産生されるプロスタグランジンが関与していることが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2000-12-25
著者
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