<原著>新生児期における顆粒球の機能とサイトカインによる活性化の検討
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概要
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細菌感染症の際に非特異的な防御をになう顆粒球の機能について, 新生児期(臍帯血, 生後5日, 生後1ケ月)と成人とで比較検討をおこなった.無刺激の状態で測定した接着分子の顆粒球表面での発現については, CD11bは各日齢群と成人の間に有意差は見られなかったが, L-selectinは臍帯血が成人に比べて有意に低値であった.顆粒球のH_2O_2産生に関しては, phorbol myristate acetate(PMA)あるいはNformyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(fMLP)のいずれの刺激でも, 臍帯血は生後1ケ月, 成人に比べて有意に低かった.また, サイトカインを加えずに無刺激で測定した顆粒球内の中性プロテアーゼ活性のうち, elastaseとcollagenaseの細胞内活性は, 臍帯血が成人に比べて有意に高値を示した.一方, 顆粒球を分離してtumor necrosis factor-α(TNF-α), granulocyte-macrophage colony stimulating factor(GM-CSF), granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)の各サイトカインにて刺激を行うと, 顆粒球表面でのCD11bの発現の増幅, L-selectinの発現の抑制は, 臍帯血が最も弱く, 日齢とともに成人の値に近づいた.さらに, TNF-α, GM-CSFで刺激した時の細胞内elastase, collagenase活性の増強の程度も, 臍帯血は成人に比べて有意に低値を示した.顆粒球表面でのサイトカインレセプターの発現をみると, GM-CSFレセプターとG-CSFレセプターの発現が早期新生児では1ケ月時や成人に比して低値であった.以上の成績から, 早期新生児期の顆粒球では炎症性サイトカインに対する反応性も含めて, 異物処理過程全般にわたって, 成人に比べて機能の低いことが明らかになった.
- 近畿大学の論文
- 2000-12-25
著者
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