<原著>実験的糖尿病神経障害ラットにおける末梢神経大径線維と小径線維の機能評価に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
糖尿病の末梢神経機能異常の早期の病態を研究することを目的として, 実験的にstreptozotocin(STZ)を用いてSDラットに糖尿病性神経障害を誘発し, チェンバー法を用いて大径線維と小径線維の電気生理学的検討を行った.STZ糖尿病ラットでは, 対照ラットと比べて, 大径線維と小径線維の有意な電位振幅の低下が観察され, 小径線維の伝導速度は正常群と比べて低下していた.また, 大径線維の電位振幅と小径線維の電位振幅の間に正の相関関係がみられた.以上の結果より, 実験的糖尿病性神経障害においては, 軸索障害は早期から存在し, 大径線維と小径線維の間に障害程度の差異はみられないと考えられた.また, 血管拡張剤であるcilostazolによって大径線維と小径線維の電位振幅の有意な改善が認められ, 糖尿病性神経障害に対する改善効果が確認された.以上の結果から実験的糖尿病性神経障害では軸索障害が大径線維・小径線維いずれにおいても存在し, この病態に虚血状態が関与している可能性が示唆された.チェンバー法は生体内で行う従来の生理学的検査法より感受性が良いことと, 小径線維電位を記録できるという利点を有していることから, 今後, 実験的糖尿病性末梢神経障害の小径線維機能的検査法として有用であると思われた.
- 近畿大学の論文
- 2000-06-25
著者
関連論文
- 18.L-dopa製剤の自律神経機能に及ぼす影響 : パーキンソン病患者56名での検討
- 糖尿病性神経障害におけるA繊維とC繊維の機能障害 : チェンバー法を用いて
- 実験的糖尿病神経障害ラットにおける末梢神経大径線維と小径線維の機能評価に関する研究