<原著>Flow cytometry法によるCandida speciesの迅速な薬剤感受性測定法の開発
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概要
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日和見感染症での真菌感染者は増加傾向にある.なかでもCandida species特にCandida albicansは院内感染の主な原因菌の一つとなっている.また, 深在性真菌症の診断は困難であるが, 早期の診断や治療は極めて重要である.これまで酵母様真菌の薬剤感受性試験は適切な培養液が得られず, 細菌の薬剤感受性検査と比較すると立ち遅れが見られた.しかし, National Committee for Clinical Laboratory Standardsにおいて標準法(M27-T)が1995年に提案されてから, 本法による酵母様真菌の薬剤感受性試験が多くの施設で行われるようになり, 耐性株, 耐性機構や耐性遺伝子などに関する報告が多くなされるようになった.臨床分離株のCandida albicans 25株, Candida tropicalis 18株とCandida glabrata 27株などのamphotericin B(AMPH)やfluconazole(FLCZ)に対する薬剤感受性検査をflow cytometry法により行った.蛍光色素としては生菌細胞(Candida)の核酸へ選択的結合するFUN-1を使用した.生菌細胞はcylindrical intravacuolar structures(CIVS)を形成するが, 死菌ではCIVSを形成しない.培養液内でAMPH(3時間), FLCZ(24時間)を作用させ, FUN-1色素の取り込みから抗菌活性を測定した.また, 標準法であるNCCLS法とも比較検討を行った.MIC測定成績は次のようになり, AMPHに対してはCandida albicans(0.5〜2μg/ml), Candida tropicalis(0.5〜2μg/ml), Candida glabrata(0.5〜4μg/ml), FLCZに対してはCandida albicans(0.125〜64μg/ml), Candida tropicalis(0.125〜64μg/ml), Candida glabrata(0.125〜64μg/ml)であった.測定成績から両法に良い相関が認められ, flow cytometry法は精度にも優れていた.培養法に比較して短時間で薬剤感受性成績が得られるので, 迅速な薬剤感受性検査として期待できる方法である.
- 近畿大学の論文
- 2000-06-25
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