<原著>CGH法によるATLの解析ならびにSKY法, CGH法によるdminの染色体DNAの由来と増幅遺伝子の同定
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概要
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ATLにおける各染色体領域のコピー数の変化を同定するためにcomparative genomic hybridizationを用いてATL由来細胞株8株とATL症例12例の末梢血液を解析した.細胞株において高頻度にコピー数増加を検出した領域は2p, 7q, 14qであり, 最小共通領域はそれぞれ2p16-22,7q21-36,14q32であった.14q32と2p16-22にはそれぞれT-cell lymphoma/leukemia-1(TCL1)遺伝子とhuman T-cell leukemia virus enhancer factor(HTLF)遺伝子が存在する.ATL細胞株のFISHによる解析の結果TCL1とT-cell receptor α(TCR α)遺伝子の再構成はなく, 14q32のコピー数増加があるにも拘らずTCL1の発現はなかった.さらに2pのコピー数増加を検出したATL細胞株にHTLF遺伝子の高発現はなかった.2p16-22と14q32の染色体領域にHTLFとTCL1以外のATLの不死化や白血病化に関与する遺伝子の存在が示唆された.double minute chromosome(dmin)は遺伝子増幅の場となる染色体異常として知られている.spectral karyotyping及びcomparative genomic hybridizationを用いてdminを持つ白血病細胞の増幅遺伝子の起源の同定を行った.急性骨髄性白血病(AML)細胞株KY821及びAML症例を対象とした.SKY法の結果からKY821のdminは8番染色体由来の染色体断片であることが明らかになった.CGH法により8q22-24のコピー数増加を検出し, c-myc遺伝子の増幅を明らかにした.AML症例のdminは11番染色体由来の断片であり, さらにpartial tandem duplicationを伴うmyeloid-lymphoid leukemia(MLL)の遺伝子増幅であることを明らかにした.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25
著者
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