<原著>Q-switched ruby laserによる抜毛後のマウス毛組織再生における細胞動態の検討
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概要
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近年, レーザー装置を用いて抜毛が試みられ, 有効との報告がなされている.しかし, それらのほとんどが短期間の観察に基いた臨床的効果のみを報告したもので, 抜毛のメカニズム及び再生のメカニズムの画からは検討されていない.そこで, 今回マウスを用いてレーザー抜毛を行い, その後の毛の再生について検討を行った.生後5日目のマウス(C57BL/6CrSlc)に対しQ-スイッチ・ルビー・レーザー照射を行い, 照射後30分, 2日目, 7日目, 9日目, 14日目に同部位を生検したところ組織学的には, まず毛の構造が崩れ, 毛組織全ての破壊・消失を認め, その後毛が表皮細胞層より再生することがわかった.bromodeoxyuridine(BrdU)・抗BrdUモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検討で, BrdU陽性細胞は照射後14〜15日目に基底細胞が真皮側に突出した(budding)細胞索の辺縁に集簇し, 17日目にはhair pegを形成し更に伸長してbulbous hair pegを形成した細胞にBrdU陽性細胞が認められた.この所見はヘマトキシリン・エオジン染色標本の経時的染色結果とよく一致している.これらの結果から, レーザー抜毛後の毛の再生は正常の毛のサイクルに基いた毛の再生や他の抜毛法を行った後の毛の再生のプロセスと異なり, 胎生期の毛の発生に類似したプロセスをたどることがわかった.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25