<原著>顔面形成手術患者の手術適応に関する精神・心理学的スクリーニング法
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概要
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顔面の形成手術においては, さまざまな精神医学的問題をかかえた患者が多く手術適応の判断は難しい.これに対し専門的知識を要しない新しいスクリーニング法を検討した.醜形恐怖症やうつ病など精神・心理的手術不適応者は, 原則として術後の満足度は低い.そこで術前に心理テストやアンケートを行い, 術後の満足度によって分類した.不満群は満足群と比較してYG性格検査でのCo尺度が高い(非協調的)(p<0.05), R尺度が低い(のんきでない)(p<0.01), A尺度が低い(服従的)(p<0.05), 包括的精神病理学評価尺度(CPRS)での異常数が多い(p<0.01)という特徴を示した.また次のような傾向が疑われた.27歳以下が多い, 疾患別では眼瞼下垂が多い, YG性格検査でE型・B型が多い(情緒不安定), コーネル・メディカル・インデックス(CMI)において精神的自覚症数が多く, 神経症的傾向の強いIII-IV領域のものが多い.軽度な変形であるが本人はひどいと思っているものが多い.この特徴のなかで互いに関連性の高いものを統合して, 年齢, 疾患別, CPRSでの異常数, YG性格検査でのR尺度, 軽度な変形であるが本人はひどいと思っているかそうでないかの5アイテムを指標に林式数量化理論II類を用いた解析により不満群を弁別すると, 92.5%の判別的中率を示した.これは顔面形成手術の手術適応スクリーニングに用いることができると考えられる.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25
著者
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