<原著>気管支喘息患者における脂質メデイエーターの好酸球に与える影響に関する研究
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概要
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気管支喘息(以下喘息)は広汎かつ種々の程度の気道閉塞と気道の炎症により特徴づけられる.気道閉塞は軽度のものから致死的な高度のものまで存在し, 自然にまた治療により可逆的である.気道炎症はリンパ球, 肥満細胞, 好酸球など多くの炎症細胞が関与し, 気道粘膜上皮の損傷を示し, 種々の刺激に対する気道の反応性亢進を伴う疾患で, これら炎症細胞からは種々のケミカルメデイエーターが遊離される.中でも細胞膜リン脂質より産生されるロイコトリエン(LT), 血小板活性化因子(PAF), トロンボキサンA2(TXA2)は喘息の発症, 重症化に関与していると考えられている.本研究は, これらケミカルメデイエーターであるLT, PAF, TXA2の好酸球に及ぼす影響について検討した.喘息患者(mite IgE RAST score≧3)末梢血好酸球に対してこれらケミカルメデイエーター単独では全く効果を示さず, 好酸球からのIL-3,IL-5,およびGM-CSFの産生は認められなかった.しかし喘息患者好酸球に特異的抗原と考えられるダニ抗原溶解液を添加すると好酸球からIL-3,IL-5,GM-CSFの産生が認められ, さらにこれら脂質メデイエーターを添加することにより好酸球からのサイトカイン産生が増強された.以上のことより, 特異抗原に刺激され活性化された好酸球は, これら脂質メデイエーターによりさらに活性化され, 種々のサイトカインの産生増強を示すと考えられた.このことから脂質メデイエーターは好酸球の活性化に対しプライミング効果を持っている可能性が示され, 喘息の病態において重要な作用を持っていることが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 1998-06-25
著者
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