<原著>エックリン汗腺の新しいマーカー, OE-1抗体
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概要
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エックリン汗腺の新しいマーカーを見つけだす目的でヒトのエックリン汗腺由来の腫瘍と考えられているClear Cell Hidradenomaから抽出した種々の大きさのタンパク質を用いて種々の抗体を作成したところ, 17kDa, pI9.5の塩基性タンパクに対する抗血清(OE-1)が免疫組織学的にヒトエックリン汗腺の分泌部, 真皮内導管, 角層を含めた表皮内導管のcuticlar borderと特異的に反応することを発見した.この抗体は, アポクリン汗腺の分泌部, 導管とは反応しなかった.また, 種々のエックリン汗腺起源の腫瘍と反応陽性であった.免疫電顕学的に抗原はエックリン汗腺の分泌部の暗調細胞(luminal cells)の細胞膜近傍, 特に導管内腔に面した細胞膜近傍に極めて多数認められた.さらに, この17kDaタンパクのN末端アミノ酸配列の解析を試みたところ, 19番までのアミノ酸の内9番目, 17番目と18番目を除く全てのアミノ酸の配列がヒトのヒストン3の配列と完全に一致した.また, OE-1はImmunoblotting上市販のヒストンと交叉反応を示し, また逆に市販の抗ヒストン抗体は17kDaのタンパクと交叉反応を示した.
- 近畿大学の論文
- 1998-06-25