<原著>各種病態時におけるヒトprostaglandinD-synthaseの尿中排泄の検討
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概要
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Prostaglandin-D-synthase(PGDS)は主に脳周辺の膜組織に存在し, 睡眠を調節するPGD_2を合成する酵素として報告されているが, ヒトの尿中においてその存在を確認した.尿中のPGDSは微量で精製して抗体を作ることができなかったので, 組換えPGDSを作製し, それを抗原とした抗体を作製し, 尿中に存在するPGDSの定量法を確立した.一方, mRNAが脳の他に, 心臓・肝臓・腎臓にも存在することを確認した.そして, 組換えPGDSをコントロールとしたimmunoblotでPGDSの定量を行い, 種々の疾患について尿中PGDSを定量した.クモ膜下出血では増加傾向を示し, 脳梗塞では変化が認められなかった.急性心筋梗塞の場合, 発病後3日目までは徐々に増加し, 4・5病日目と減少傾向を示した.PGDSは組織壊死が生じることで逸脱し, 分子量約30,000と低分子量であるため糸球体から, 濾過され尿中に排泄されると考えられる.
- 1998-06-25