<原著>ラット変形性関節症モデルの関節軟骨におけるc-fos, c-jun発現の免疫組織学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
c-fos, c-jun遺伝子は細胞増殖遺伝子として胎生期の関節や関節軟骨の発生に重要な役割を果たしている.また最近c-fos遺伝子が過剰発現すると関節軟骨の変性・破壊につながる可能性も報告されている.今回, ラット変形性関節症(OA)モデルを作成し, 関節軟骨の変性過程におけるc-fos, c-jun蛋白の発現を免疫組織学的に検索した.その結果, c-fos, c-jun蛋白は, ともにOA誘発の3日目で全層に, 1週目で浅層から中間層に, 2週目で中間層の軟骨細胞核内および細胞質に発現し, 4週目では消失することがわかった.またサフラニンO(S-O)染色による軟骨基質の染色性は, c-fos, c-junの発現にともなって低下した.c-fos, c-jun蛋白の発現がメカニカルストレスの異常に対応してOA発症の初期に軟骨変性に先立ち強く認められたことは, c-fos, c-junによって誘導された軟骨細胞の分裂増殖および幼若化が基質破壊につながる可能性を示唆する.また, OAにおけるprotein kinase C(PKC)の役割とc-fosとの関係を検討するために, PKC活性化型ホルボールエステルであるphorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)を関節内に注入し, 同様にc-fos蛋白の発現を観察した.その結果, PMA注入群ではc-fosの発現が抑制され, S-O染色性の低下は認められず, またOAの進行も明らかに抑制された.これはsecondary messengerであるPKCの活性化がtertiary messengerであるc-fosの発現に抑制的に作用したこと, それにより結果的に軟骨基質が破壊から守られたことを示唆し, OAの発症と進行のメカニズムの一端が明らかにされたと考えられる.
- 近畿大学の論文
- 1998-06-25
著者
関連論文
- 熱傷後に生じた小児MRSA骨髄炎の1例
- エストロゲン刺激による破骨細胞のオステオポンチン遺伝子発現と骨吸収窩形成に対する影響
- 13.ラット変形性関節症における関節軟骨のc-fos蛋白発現におよぼすPMAの影響
- 6.ラット変形性関節症モデルの関節軟骨でのc-fos発現の免疫組織学的研究
- ラット変形性関節症モデルにおける関節軟骨での c-Fos 蛋白発現の経時的変化に関する免疫組織学的研究
- 軟X線テレビ画像処理装置を用いたラット骨粗鬆症モデルの海綿骨構造の検討 : 第2報
- 19.軟骨細胞におけるムスカリン受容体の軟骨代謝に及ぼす作用
- 21.軟骨細胞におけるムスカリンレセプターの作用
- 実験的変形性関節症モデルにおける関節軟骨の破壊とプロテインキナーゼC(PKC)の関与
- 脚延長終了後延長器を安全に除去できるまでの期間は患者年齢に相関する : 多施設調査
- 術後20年を経過した人工股関節
- 人工関節術後感染例の検討
- ラットを用いた延長仮骨の免疫組織化学的検索
- 静注によるM-CSFのウサギ延長仮骨に対する骨形成刺激作用
- 延長仮骨形成時における遺伝子発現について : 第2報
- 創外固定を用いた骨折治癒と骨形成刺激の可能性
- RAに対するSauve-Kapandji法の成績
- 腰部脊柱管狭窄症の硬膜管面積とプロスタグランジン製剤の有効性
- 橈骨遠位端骨折に対する治療成績
- 当科における手指PIP関節背側脱臼骨折の治療成績
- 鏡視下および小皮切法による手根管症候群の治療
- ばね指に対する手術法についての検討
- エストロゲン刺激による破骨細胞のオステオポンチン遺伝子発現と骨吸収窩形成に対する影響 -第2報-
- 13.エストロゲンによる破骨細胞のオステオポンチン遺伝子発現と骨吸収窩形成への影響 : 第2報
- 17.E2刺激による破骨細胞のOPN遺伝子発現と骨吸収窩形成への影響
- ラット変形性関節症モデルの関節軟骨における c-fos, c-jun 発現の免疫組織学的研究
- ラット変形性関節症モデルの関節軟骨におけるc-fos, c-jun発現の免疫組織学的研究