<原著>早期声門癌に対する多分割照射による放射線治療の有用性
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概要
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頭頸部癌の中で最も罹患率の高い癌の一つに喉頭癌があげられる.喉頭癌に対する治療法としては, 手術と放射線療法が選択される.放射線治療は, 機能保存および外観保存を併せ持った治療が可能であり, 患者のQOL(Quality of Life)に優れた治療法といえる.喉頭癌の中でも早期声門癌(T1-2N0M0)症例は, 放射線治療の最も良い適応とされている.近年の放射線生物学の進歩により, 正常組識の晩期障害を少なくし, 腫瘍の局所制御率を高めることを目的に多分割照射法が行われるようになった.本研究では, 早期声門癌に対する放射線治療における多分割照射の有用性を検討した.近畿大学医学部附属病院放射線科にて放射線治療が行われた早期声門癌症例は101例で, そのうち単純分割照射(1日1回)は56例, 多分割照射(1日2回)は45例であり, 年齢と男女比に有意な差はなかった.照射面積, 照射線量, 生存率においても両者に差はなかったが, 照射による副障害対策としての休止期間および全治療期間において, 多分割照射群が単純分割照射群よりも有意に優れているという結果が認められた.また1.5Gy 1日2回総線量60Gyでの多分割放射線治療は, 早期声門癌に対して機能保存および形態保存が得られる上に, 治療成績も通常の単純分割法と差がなく良好で安全であることが証明された.今回の検討の結果, 早期声門癌に対する多分割照射法は単純分割法よりも治療期間をかなり短縮させるという利点があり, より有用な治療法であることが確認された.
- 近畿大学の論文
- 1998-06-25
著者
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