<原著>ハムスター血漿α-1-antiproteinaseのcDNA塩基配列の決定およびmRNAの発現状態の検討
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概要
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シリアンハムスターの肝のcDNA libraryよりα-1-アンチプロテアーゼ(α-1-アンチトリプシン, またはα-1-プロテアーゼインヒビター)の完全なクローンを単離し, その塩基配列を決定した.そのcDNAの塩基配列より活性中心(P3-P'3)のアミノ酸を推定した.その結果, Ile-Pre-Met-Ser-Val-Proでα-1-アンチプロテアーゼの正統型の特徴を示した.また, 活性中心でPCR-SSCPを行ったが, 非正統型は検出できなかった.一般にα-1-アンチプロテアーゼはヒトなど他の種族では急性相蛋白といわれているが, 炎症時, ハムスターでは血漿中における濃度変化はなく, 合成されている肝のmessenger RNAの発現量も変化がなかった.この蛋白の12種の分子系統樹を同義置換率に基づいて作製した.その結果, ハムスターはマウス, ラット, スナネズミよりも早い段階で分岐し, モルモットはウサギにより近く, 齧歯類よりは遠く離れていた.すなわち, 今回作成した系統樹は, 形態学に基づかれた古典的系統樹(ハムスター, スナネズミは朝鮮鼠亜科, マウス, ラットは鼠亜科, モルモットは齧歯類に属している.)と大いに違っている.したがって, 齧歯類の進化は生化学的見地からみれば, 別の分類ができることが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 1997-06-25
著者
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