<原著>ウサギtartrate resistant acid phosphatase陽性細胞の線溶活性に対する骨吸収刺激・抑制因子および合金の影響
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概要
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近年, 成熟破骨細胞が単離されるようになり, 破骨細胞の骨吸収機構が明らかになりつつある.本研究はウサギ酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)陽性細胞を精製し, 骨吸収刺激因子, 骨吸収抑制因子および合金のTRAP活性と線溶活性への影響を検討し, 破骨細胞の骨吸収機構を解明することを目的とした.ウサギ全骨細胞より培養皿上に強固に吸着した細胞を単離した.この細胞は組織学的にTRAP染色および26C3モノクロナール抗体免疫染色陽性で破骨細胞の特性を有していた.TRAP陽性細胞を骨吸収刺激因子parathyroid hormone, prostaglandin E2(PGE2), 1,25-dihydroxyvitamin D3,骨吸収抑制因子7-isopropoxyisoflavone(IP), menatetrenone(Vit.K_2), calcitonin(CT), ethane-1-hydroxy-1,1-diphosphonate(EHDP)および合金であるstainless, cobaltchrome-molybdnum, titanium-6aluminum-4vanadium合金で刺激し, 培養上清液, 細胞表面分画液, 細胞溶解液をサンプルとした.フェニル燐酸基質法で測定したTRAP活性は培養上清液, 細胞溶解液ではPGE_2,IP, Vit.K_2,CT, EHDPにより抑制された.TRAP陽性細胞に対するstainless, cobalt-chrome, titanium-aluminumの合金刺激はTRAP活性の増強をきたした.つぎに, 同サンプルのurokinase-type plasminogen activator(u-PA活性)をエンザイモグラムで解析し, またLpyroglutamyl-glycyl-L-arginine-p-nitroanilide hydrochrolide(s-2444)合成基質を用いて, 1本鎖u-PA(scu-PA)を測定した.骨吸収刺激因子, 骨吸収抑制因子および合金刺激によりu-PA活性およびscu-PA量はTRAP活性と同様な変化を示した.今回の結果から, 精製TRAP陽性細胞の線溶活性と骨吸収の関係が初めて示唆された.
- 1997-06-25
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