<原著>sphingomyelinaseの活性化因子であるsaposin Dの皮膚における局在部位について
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概要
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saposin Dとその前躯物質であるprosaposinは, sphingomyelinase(SMase)の活性化因子としてスフィンゴ脂質の代謝に重要な働きをしている.皮膚のバリアー機能を司るセラミドはSMaseの働きによってスフィンゴ脂質より産生されており, SMaseを活性化するsaposin Dとprosaposinは皮膚の脂質代謝において重要な物質と思われる.本論文は, saposin Dの皮膚における局在部位を検討するため, saposin DのcDNA配列より決定されたアミノ酸配列のうち, 24番目から35番目までの12個のアミノ酸残基(prosaposinのアミノ酸配列では429番目から440番目まで)からなるペプチドを人工的に合成し, キャリア蛋白と結合させ, 多クローン性抗体を作成した.また, ELISA法でこの抗体が合成ペプチドに特異的な抗体であることを確認した.この抗体は酵素抗体法染色で角層下層の角層細胞膜に特異的に反応した.免疫電顕下でこの抗体に反応する物質は, 角層下層の角層細胞(約3-4層)ならびに顆粒層最上層部の顆粒細胞の細胞膜, 細胞間及びOdland小体が細胞膜と融合し内容を細胞間に分泌している部位に特異的に存在した.一方, 表皮のホモジネートを2次元電気泳動しimmunoblotting法で解析したところ, この抗体と反応するタンパクは分子量約65kDaの単一タンパクで, その等電点は約5.6であった.これらの結果よりsaposinは人間の皮膚表皮には成熟した個々のsaposinの形ではなく, prosaposinの形で存在する可能性が示された.さらにこの抗体を用いて, 正常人とアトピー性皮膚炎患者無疹部皮膚におけるprosaposin量をELISA法にて比較したところ, アトピー性皮膚炎患者無疹部皮膚では有意に低下していることが明らかとなり, アトピー性皮膚炎患者皮膚角層のセラミド量の減少に関与するものと思われた.
- 1996-12-25
著者
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