<原著>ラット実験的変形性関節症モデルを用いた関節軟骨におけるプロテインキナーゼC(PKC)の免疫組織学的研究
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概要
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変形性関節症における関節軟骨の変性あるいは維持機構を軟骨細胞内伝達物質であるプロテインキナーゼC(PKC)の発現により解明することを目的とした.そのためラット膝関節に実験的変形性関節症モデルを作製し, 経時的に5種類の抗PKC抗体を用い免疫組織学的に検索を行った.また軟骨基質グリコサミノグリカン(GAG)の局在を4種類の抗プロテオグリカン抗体を用いて同様に検索した.細胞内情報伝達物質であるPKCの様々な分子種のうち, 正常関節軟骨ではε-PKCのみが浅層から中間層の軟骨細胞内基質と核に存在した.しかし関節症軟骨ではα-PKCが中間層の軟骨細胞内基質と核に出現し, またε-PKCも正常群より染色性が増強した.GAGは正常関節軟骨でみられるコンドロイチン4-硫酸, コンドロイチン6-硫酸, ケラタン硫酸等が関節症早期に全ての層で軟骨細胞周囲基質に正常群に比較し染色性の増強を認め, コンドロイチン4-硫酸はさらに石灰化層にも発現した.また正常軟骨では存在しないデルマタン硫酸が関節症早期から軟骨細胞周囲・細胞外基質に発現した.これらにより軟骨細胞におけるPKCの存在が免疫組織学的に初めて証明され, さらにそれらにGAGの経時的な局在変化を対比させることにより, 異常メカニカルストレスによってひきおこされる変形性関節症の軟骨変性および軟骨維持過程において前者ではα-PKCによる, 後者ではε-PKCによる細胞内情報伝達機構の存在が明らかとなった.
- 近畿大学の論文
- 1996-12-25
著者
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