<原著>実験的ラット脊髄梗塞モデルの開発と運動機能および病理形態学的変化
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概要
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現在までに各種の脊髄障害モデルが開発されているが, 脊髄のみを虚血状態にして梗塞巣を作製できるモデルはほとんど見られなかった.そこで, 血中に投与した鉄粉粒子を電磁石で脊髄内血管に集積させて, 脊髄に梗塞巣を作製したラット脊髄梗塞モデルを開発し, 運動機能および梗塞巣の広がり方と組織反応を経時的に観察した.運動機能については手術を行い, 評価をおこなった49例全例に何らかの下肢麻痺が出現し, 術後1日目で92.5%(完全麻痺55%), 7日目でも42.9%(完全麻痺28.6%)の個体に麻痺が残った.組織学的には出血性梗塞の像であり, 電磁石の先端が接していた第13胸髄から第1腰髄を中心に, 水平および上下方向に広がっていた.水平方向では障害範囲に大きく5つの形が見られたが, それぞれは閉塞血管の差異によるものと考えられ, 灰白質を中心とする部位の障害が大きい例ほど麻痺は強く長く残った.astroglia, microgliaとmacrophageの反応態度は虚血性病変に伴うものであった.今回の実験では意図した部位に高率に梗塞巣が作製され, 他臓器に障害もなく長期観察ができた.今後, 本モデルは虚血性脊髄梗塞の研究に利用が可能と考えられた.
- 1996-06-25
著者
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