穀類の多給が, 反すう動物のでんぷん消化に及ぼす影響(農学部門)
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概要
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穀類飼料を多給すると, かなりのでんぷんが反すう胃での微生物による発酵分解をのがれて第4胃へ移行してくることが報告されている。また著者らは与えた飼料の反すう胃内における発酵状況が, 第4胃へのでんぷん移行量に影響すると推察し得る結果をさきに報告している。本試験においては, 濃厚飼料 : 粗飼料比の異る飼料を多給し, 前回の結果をさらに検討した。第1胃および第4胃にフィステルを装着した去勢成めん羊2頭(1号, 2号)に圧片大麦 : アルファルファヘイキューブ=50 : 50および80 : 20の飼料を1日1頭当り, 体重の3%を朝夕等分して与えた.7日間の予備期の後, 飼料給与3時間後に第1胃液を, 2,4および6時間後に第4胃液をそれぞれ3日間採取し, また消化率測定のため糞を採取した。採取したサンプルより, 第1胃内VFA産生状況, 第4胃へのでんぷん移行率, 第4胃内エタール可溶性糖量およびでんぷん消化率を測定した。また採取したサンプル中のリグリン含量を測定し, 第4胃移行率および消化率を求めるための指標とした。50 : 50に比して80 : 20では, VFA総量およびpHは低下し, C_2/C_8は上昇した。とくに2号羊で著しかった。2号羊では乳酸の含量が顕著に高かった。でんぷんの第4胃内乾物中パーセントおよび第4胃への移行率は50 : 50で高く, また80 : 20においては2号羊において低い傾向がみられた。第4胃エタノール可溶性糖は量的にデンプンに比してわずかなものであった。でんぷんの消化率は50 : 50および80 : 20の間に差はみられずほとんど完全に消化されていた。
- 京都府立大学の論文
- 1980-11-29
著者
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小島 洋一
Laboratory Of Animal Science Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University
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岡田 実
Laboratory of Animal Science, Faculty of Agriculture, Kyoto Prefectural University
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岡田 実
Laboratory Of Animal Science Faculty Of Agriculture Kyoto Prefectural University