青果物小売商の経営収支の推定(農学部門)
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概要
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本稿では, 主として京都市内の青果物小売商に対する聴取調査結果を基礎に, 青果物小売商の経営収支の推定とその経済的意味の検討を行った。経営収支の推定は(総販売額)×(粗利益率)-(総経費)=(純収益)という式に添ってなされ, 特に粗利益率の推定に工夫が行われた。推定及び検討の結果は次のとおりである。1.青果物小売商の平均マージン率は, 蔬菜で30.35%, 果実で30%, 平均粗利益率は蔬菜で19.5%, 果実で21.4%と推定された。したがって, 蔬菜果実両者に対する平均粗利益率は20%より小さくはない。2. 1日当り販売額3万円の小売商は, 1人の雇用者を持つとしても, 月間6万円の純収益を得ているから, ノーマルな各資源報酬を得ていると考えてよい。3.全小売商の半数以上を占める3万円以上層では, 相当高い純収益を得ている。一方3万円以下, 特に2万円以下層は, 小売業のみでは生活費を十分にまかなえない。4.上層小売商は, マージン率引下げ(したがって小売価格引下げ)の余地を持つと思われる。しかし引下げの動機は, スーパーマーケットのような大規模小売商の小売市場への参入によってのみ与えられると考えられる。
- 京都府立大学の論文
- 1964-09-01