<総説>糖尿病性神経障害抑制薬に関する薬理学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
糖尿病性神経障害は高血糖に起因する末梢神経内ポリオール経路の亢進によって引き起こされると推定されている。ポリオール経路の律速酵素はアルドース還元酵素(AR)であり,AR阻害剤は糖尿病性神経障害に対して有効であると考えられている。本研究では新規なAR阻害剤,フィダレスタットの糖尿病性神経障害に対する有効性を明らかにする目的で,種々の薬理学的検討を行った。各種酵素に対する作用の検討により,フィダレスタットはARを強力かっ選択的に阻害することが明らかとなった。また,ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットを用いた薬効評価試験の結果,フィダレスタットは低用量で末梢神経内ポリオール経路の亢進を持続的に抑制し,知覚神経および運動神経の伝導機能障害を他のAR阻害剤よりも強力に改善することが明確になった。さらにフィダレスタットをSTZ誘発糖尿病ラットに15ヶ月間投与することにより,末梢神経において代謝異常を長期間是正し,伝導機能障害だけでなく神経変性に対しても効果が認められた。これらのことから,フィダレスタットは糖尿病性神経障害に対する有効性を示すと考えられ,有用な糖尿病性神経障害治療薬として発展の可能性が示唆された。
- 岐阜薬科大学の論文
- 2002-06-30