<総説>標的指向機能を有するポリマーコーティングリポソームの設計に関する研究
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概要
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パッシブターゲティングを目的とした静注用キャリアーを設計することを目的として,いくつかの部分疎水化水溶性ポリマーによるリボソーム(Lip)の表面修飾の検討を行った。部分疎水化水溶性ポリマーは疎水基の脂質二重膜へのアンカーリング効果によりリボソーム膜表面に立体的なコーティング層を形成することを明らかにした。ラットに静注した場合の体内動態を評価した結果,ポリマーコーティングリボソーム(PC-Lip)はRES(reticulocmdothelial system)回避能を有し,それに伴いキャリアーの血中滞留性が有意に延長することを明らかにした。また,制ガン剤である塩酸ドキソルビシンを封入したポリマーコーティングリボソーム(Dox-PC-Lip)は担癌ラットにおける薬物の腫瘍移行性が有意に増大し,そのパッシブターゲティング効果が明確となるとともに,担癌マウスにおける腫瘍増殖を最も抑制し,延命率を顕著に改善することも明らかにした。以上,リボソームに部分疎水化水溶性ポリマーを用いて表面修飾することにより,標的指向機能を付与し得ることを明らかにし,機能性微粒子DDSの設計に有用な指針を提示することができた。
- 2002-06-30