<総説>全身性エリテマトーデス患者の腎炎発症機序
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概要
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全身性エリテマトーデス(SLE)は,典型的な自己免疫疾患であり,免疫調節性T細胞機能およびB細胞機能の異常を特徴としている。この疾患では種々の臨床症状を示すが,中でも腎機能に異常をきたした場合,その病状は重篤なものとなり,この疾患の死亡原因の多くを占めている。SLE患者においてその病勢と相関するとされている血中の抗DNA抗体の等電点によるクロノタイプを調べてみると,陽性荷電の抗DNA抗体がループス腎炎の活動期に特異的に検出され,ループス腎炎は陽性に荷電した抗DNA抗体が腎糸球体基底膜上でin situ免疫複合体を形成することにより起こると考えられる。このような病原性抗DNA抗体の産生には,従来からループス腎炎マウスを用いて体細胞突然変異の重要性が報告されてきたが,ヒトのループス腎炎の場合,あらかじめゲノムに病原性抗DNA抗体V|遺伝子(SG3/A30)が用意されており,腎炎の発症には免疫グロブリン胚細胞型遺伝子座の多型などの遺伝的な要因とreceptor editingによる自己反応性免疫グロブリンレセプターの排除機構の異常が重要な要素となっている。
- 岐阜薬科大学の論文
- 1998-06-30