<総説>Benzonitrile化合物の免疫薬理学的評価
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概要
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側鎖にacetoxyamino基を有する一群のbenzonitrile化合物の中で最も強い抗アレルギー作用を有する3,5-bis(acetoxyacethylamino)-4-chloro-benzonitrile(以下, TYB-2285と称する)の免疫薬理学的な特性について紹介する。TYB-2285は, ラット受動皮膚アナフィラキシー(PCA)において1-30mg/kgで用量依存的な抑制作用を示し, 受動腹腔アナフィラキシー(PPA)において腹腔へのhistamine遊離を著明に抑制する。TYB-2285はIgE抗体で受動感作した腹腔マストセルをin vitroで抗原誘発して惹起したhistamine遊離を10-4Mでも抑制しない。TYB-2285はinterleukin-3(IL-3)でprimingしたマウス骨髄由来マストセル(Persistingce11; P-cell)からの抗原誘発によるhistamine遊離を抑制するが, IL-3無処置P-cellからの抗原誘発によるhistamine遊離を抑制しない。同様の結果はヒト末梢血好塩基球でも認められる。また, IL-3によるhistamine遊離の増強は抗CD11b抗体で抑制される。TYB-2285はヒト末梢血好酸球の培養ヒト血管内皮細胞への接着を濃度依存的に抑制するが, DSCGあるいはketotifenは生理的な濃度で抑制しない。TYB-2285は10-100mg/kgで用量依存的にラット気道への好酸球浸潤を抑制する。TYB-2285は抗原誘発によるラット即時型気道狭窄反応を3-30mg/kgで用量依存的に抑制し, ヒツジ自然感作喘息モデルにおいても抗原誘発後の投与により誘発6-8時間後の遅発型気道狭窄反応及び24時間後の気道過敏性を抑制する。TYB-2285は抗アレルギー作用に加えてT細胞依存性好酸球浸潤を抑制することから, 喘息治療薬としての可能性が期待される。その作用機序については, 主として細胞接着抑制作用に基づくものと考えられる。
- 岐阜薬科大学の論文
- 1997-06-30