腫瘍壊死因子とインターロイキン-12を誘導するスモモ果汁成分に関する研究
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概要
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免疫賦活能をもつ食品成分を追求する目的で, モモ類果汁をマウス(C3H/He Slc, ddY)に注射し, 血清中に誘導される抗腫瘍性サイトカイン(腫瘍壊死因子, TNF-α;インターロイキン12,IL-12,図1)を定量した.スモモ, モモ, 及びプルーンの食用部分の遠心上清のpHと浸透圧とを生理的条件に調整した後除菌フィルターを通した.この調整果汁(200μl/マウス)をマウス尾静脈に注射し, 3時間後にLPS(リポ多糖, 10μg/マウス)を静脈内に投与し, さらに2時間後個々のマウスの血清を採取した.この実験系(果汁によるプライミングとLPSによるトリガリングを行う系, 図2)で血清中に誘導されたTNF-α活性は標的細胞のL929に対する細胞傷害率を指標として定量し, IL-12誘導量は酵素免疫測定法(ELISA)により測定した.スモモ果汁を投与した時, 正常マウス血清と比較して約60〜80倍量のTNF-αが誘導されることが明らかになった.またスモモを含むモモ類果汁によってマウス血清中に誘導されたIL-12濃度は, 正常マウス血清の10倍以上であった.スモモ果汁中に含まれる抗腫瘍性サイトカイン誘導性因子の化学的特性を知る目的で, 果汁に熱処理, プロテアーゼ処理, 及び過ヨウ素酸処理を加えてこれらのサイトカインの誘導に与える影響を検討した.TNF-αとIL-12を誘導する因子はいずれも易熱性で糖タンパク質である可能性を示唆する結果が得られた.
- 2001-03-30