[IV] 6th International Vacuum Metallurgy Conference on Special Melting and Metallurgical Coatings 報告
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概要
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標記会議には米国人研究者の他に,日本,東西ドイツ,英国,フランス,ソ連等々の各国から多数の研究者が参加した。会議は"Special Melting"および"Metallurgical Coatings"の二つの大分科会にわかれ,両者とも2会場を使用し,研究発表は全て口頭で行なわれた。筆者の参加した"Metallurgical Coatings"は表1に示したような13の小分科より構成され,その講演数は117件であった。表1にみられるように,"Metallurgical Coatings"分科会においては,表面被覆の当面する重要な問題がほゞ網羅されている。各々の小分科における当面の問題点あるいはトピックスはそれぞれのInvited paperよりその大要を推測できよう。この観点より,各小分科におけるInvited paperの標題を表1に列挙した。なお同表中には各小分科における講演件数も示した。筆者の関与した"Coatings for radiation environments"においては,14件の研究発表が行なわれたのみであったが,この会議の直前に"First Topical Meeting on Fusion Reactor Materials (Miami Beach)"が催されたという事情によるものであろう。Sandia Lab. (Albuqurque)のD. M. MattoxはそのInvited paperにおいて,核融合炉壁のLow-Z materialによるcoating膜表面と高エネルギー粒子との相互作用の研究のみならず,coating膜自体の特性,すなわちcoating-substrate systemの密着性,耐熱性等の特性の把握,改良に関する研究の必要性を力説した。核融合炉壁coatingsは一般よりきびしい熱的,機械的環境にさらされ,安定なcoating膜の形成法とともに,その評価法の確立が望まれる。"Coatings for fusion environments"において発表された研究内容を,coating-substrate system, coating膜の作製法とその評価法,および研究目的よりまとめたのが表2である。Coating materialとしては従来より注目されている各種のLow-Z materialがとりあげられているが,基板との組合せは必ずしも実用的とは言えない。しかし,Mattoxも指摘しているように,このcoatingに関する研究は端緒についたばかりであり,これらの基礎的な研究成果をもとに,より実用的な展開をみせるものと思われる。Coating膜の作製法にはCVD,sputtering, plasma spraying等々多種多様の方法が採用されているがいずれも一長一短あり優劣はつけ難い。現状ではcoating-substrate systemによりその作製法を選択し,それらの基礎的特性を把握しておく必要があろう。幾つかの研究においては,Low-Z coatingsと各種高エネルギー粒子との相互作用,表面形態,coating膜の組成,構造,porosityのような,従来Low-Z material自体に関して行なわれてきた特性の評価に研究主眼がおかれているが,coating-substrate間の密着性,耐熱性等のcoating膜system固有の特性に関する研究も散見され注目に価する。Low-Z coating候補材料の多くは共有結合性化合物であり,基板となる金属材料との密着性は良好とは言えず,かつ熱膨張率も著しく異なる。この種のcoating-substrate systemの密着性,耐熱性の改善には,界面に厚い拡散層を形成させることが必須であると思われる。拡散層の有無,その構造を知るために種々の表面分析法が活用されているが,数十μm以上の厚みを要するであろう核融合炉壁coating膜のdepth profile測定には,比較的大きな検出深さを有する分析法,たとえば,Rutherford Back-scattering, ion-prube X-rayあるいは核反応(それぞれRBS, IPXA, IPNRと略記)等の利用も有効で,これらは表2のように多くの研究groupで活用されている。表3は"Characterigation of coatings"(第7小分科)の講演内容を表2と同じ観点からまとめたものである。ここでとりあげられているcoating-substrate system自体は核融合炉壁の問題と直接に関係しないが,coating膜の評価法の観点からは興味あるものである。Ion-etchingを併用したAES, XPS, ISSと同様,RBS, IPXA, IPNR等の有用性も極めて大きく,AES, XPS, ISS等の併用によりCoating膜自体およびcoating substrate間の界面構造の詳細がより明確にされ,各種の問題解決の手がかりが得られるものと期待される。
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