「福富草紙」の二系統の本文について : その語彙の比較から考える
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概要
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「福富草紙」の二系統の本文,通称「福富草紙」「福富長者物語」はその本文が全く異なる。本稿は,それぞれの代表的本文について考察したものである。その結果,本文の成立時期について「福富草紙」は13世紀末頃までさかのぼり,「福富長者物語」は17世紀初頭までひきさがるのではないかとする。また,「福富草紙」はことばと絵が一体となって作品を構成しているのに対して,「福富長者物語」はことばは絵から遊離しており,絵はすでにその役割を失っている。そして,「福富草紙」が第三者である読者に対する特別な意識がないのに対して,「福富長者物語」は読者に対する明らかな言語意識を持つと考える。
- 田園調布学園大学の論文
- 2003-03-20