<論文>「ギャル系」が意味するもの : <***>をめぐるメディア環境と思春期女子のセルフイメージについて(投稿論文)
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概要
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本稿は,マスメディアによって形成された"強く自由な主体"としての<***>イメージが,同年代の少女たちのセルフ・イメージにどのような影響を及ぼしているのかを,1999〜2000年に杉並区と浜松市で実施した質問紙調査とインタビュー調査の結果をもとに分析したものである。少女たちは,マスメディアの<***g&t;イメージが,一部の「ギャル系」と呼ばれる少女たちによって代表されていると見ており,「***=ギャル系」「ギャル系=***」といった画一的・一面的な捉え方に不満を抱いている者が多い。しかし「ギャル系」の強さ,個性,仲間意識に対する肯定的な意見も多く,「ギャル系」に対する共感の存在も確認された。さらに今の時代に「***であること」にどんなよい点があるかを聞いたところ,「自由気ままで楽しく,流行発信などを通じて社会に対して強い影響力を持てる」という回答が多く見られ,そうした"強く自由な"セルフ・イメージの背景に「ギャル系」への共感があることが示唆された。そこで「ギャル系」情報に特化した雑誌3誌の購読者を非購読者と比較したところ,「ギャル系」へのアイデンティフィケーションが強いと思われる購読者の方が,「***であること」をより肯定的に捉える傾向があり,成人男性に声をかけられたり,お金で誘われたりする率も高く,***をより普遍的な現象と捉えていることが明らかになった。しかし,少女たちは自分たちが謳歌している自由や力を,高校時代だけの期限付きのものとして自覚しており,女性として真に"強く自由な"主体形成には必ずしもつながっていない。彼女たちに「今が人生で-番いいときであとは下り坂」と思わせてしまうジェンダーのありようを問題化していくためにも,これまで成人男性と思春期女子が作り上げてきた<***>言説の生成装置に,成人女性がより積極的に介入していく必要があろう。
- 独立行政法人国立女性教育会館の論文
- 2002-09-30