<総説>植物の組織培養におけるシュート形成の分子機構
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概要
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組織培養による器官再生の研究は1950年代からの長い歴史を持つが, その分子機構についてはほとんどわかっていない。近年, 分子生物学のめざましい発達により, その分子機構を解明する手がかりが見つかり始めてきている。1つはシュート形成に中心的な役割を果たす植物ホルモンであるサイトカイニンのシグナル伝達機構の解明である。それにより, サイトカイニンのシグナル伝達はヒスチジン-アスパラギン酸リン酸リレーにより伝達されると考えられるようになった。また, シュート形成の開始の制御に関係する遺伝子ESR1が同定されている。ESR1は転写制御因子をコードしており, 下流の遺伝子の転写制御によりシュート形成の開始を制御していると考えられる。これらの研究成果により, 今後, シュート再生の分子機構が明らかになっていくものと期待される。
- 中部大学の論文
- 2002-03-31