技術転換と持続的成長の制御モデル:シミュレーションと日本経済のITパラダイム転換の実証
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概要
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持続的なマクロ経済成長を維持するためには長期にわたって,経済システム全体を規定する技術革新の成果を国民経済全体に普及させると同時に,当該技術へのロックインを抑制し,次代を担う新たな技術革新を誘発するべく,技術革新の進化を制御していく必要がある.このような資源配分問題は,企業の研究開発活動(ミクロ),および国民経済的な科学技術政策(マクロ)の,両面にあてはまる.本稿では,このような資源配分問題に,シミュレーションによってその条件を求め,有価証券報告書および民間企業資本ストック統計等からわが国の技術革新マネジメントの成否に関して考察を行なった.この結果,既存の知識ストックへの償却率を制御することによって技術転換を通じた持続的な経済成長を実現できることがわかった.またわが国の実証データからこの条件を検討した結果,上場製造業については高度成長期以降,持続的成長のための条件を満たす償却率の制御が実効的に行われてきた可能性が高い.一方わが国全体では,企業数にして全製造業の99 %を超える非上場企業において十分な償却率制御が90 年代後半以降行なわれなかった可能性が高く,上場企業とのシステム間不整合がわが国におけるIT 生産性パラドクスの一因と考えられる.
- 2003-09-30
著者
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