<研究論文>大文字「他者」の記号学と肉体美 : 化粧品産業と日米の美人観の変遷 (1800年代-1960年代)
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概要
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この論文では,最初にフランス人精神分析学者,ジャック・ラカン(Jacques Lacan)の大文字「他者」の理論を述べる。次に,化粧品産業からみた日本とアメリカの美人観の変遷について調査する。ラカンの大文字「他者」の理論は,他者の外観を作ろうとする化粧品広告との関連で紹介する。化粧品産業とは,最先端の化粧品技術を広告のディスコースを用いて,私たちの前に「他者」の像を作り,私たちに同一者になるように誘う。この調査では,米国ではビューティーカルチャー,映画産業,アフリカ系アメリカ人をターゲットとした化粧品部門の設立,海外からの移民の増加が,アメリカ人の美人観を形成していた。一方,日本では,明治以降の化粧品産業の発達,映画産業,外国化粧品メーカーの登場が,日本人の美人観の変遷に影響を与えていた。美しさの基準とは普遍的なものではなく,社会によって文化的に形成されていることが明らかとなった。日米の共通点としては,両者とも海外からの影響が見られたことである。
- 2003-03-31